VALLEYS OF NEPTUNE
『シオリ・エクスペリエンス』にハマっていることもあり、ジミヘンはコソコソ聴いている。
全世界、全エレキギター史上、もっとも影響力をもったギタリストくらいしか知らないで来たので、ここでアルバムを聴いておこうと思った。
レンタル屋さんに行ったら、「ジミヘンまさかの新盤!?」というポップに惹かれて、この『ヴァリーズ・オブ・ネプチューン』があったので借りてみた。
ギュイイイん!!と、むちゃくちゃ歪んでいるように形容されるトーンは、よく聴くと実はあんまり歪んでないように思う。ファズとかブースターのシンプルに毛羽立って薄くドライブした感じというか。
それよりもリズムがいちいち複雑である。これがいまのところジミヘンのアルバムを聴いて感じられる自分のところの限界である。ジミヘンの演奏はドラムに対して、走ったりタメたりの「ブレ」が大きい。でもその「ブレ」を、無意識なのか意識下なのか完璧にコントロールして、同じメロディの繰り返しだけの演奏でも緊張感がずっと続く。
「これ以上遅れると、または、これ以上早いと、単にずれて聴こえる」の絶妙なラインに乗らないように演奏し続けているように聴こえる。そんなジミヘンの演奏を聴いていると、なんか呪術的にグルグルしてくるので、すごい。
たぶん機械的なうまさで言ったら、現在のギタリストのほうがはっきりいってうまい。でも、それは、なんか精製してスッキリしてしまった料理のようなもので、野趣が溢れているような感じではないとでも言おうか。
ロックギターというか、歪みを使った場合こそ、グルーヴが問われるのだろう。
つくづくギターはリズム楽器だなと思った。